THEエンジニア
2019.04.09 | SOSUKE HIRAYAMAこんにちは、メドレーの平山です。
1年4ヶ月ぶりの更新となってしまいましたが、じっくりと更新し続けていこうと思います。5回目は「THE エンジニア」というテーマで書いていきます。
日本はテクノロジーの活用が遅れている、優秀なエンジニアが足りない、エンジニアの育成が急務である、このような話は日々耳にするようになってきています。しかし、エンジニアとは何か、と問われた時に、どのようなひとが、どのようなことに取り組んでいる姿をイメージするでしょうか。
エンジニアという職業は医師や弁護士のような専門資格を前提とするものではなく、自ら名乗ればエンジニアとして仕事をすることができます。その結果、幅広いイメージをもたれる職種になっているように思います。
そうなると、エンジニアとは何か、と問われたときには、自然と身近にいるエンジニアの方などをイメージするのではないでしょうか。
それでは、そのようなイメージを切り離した、日本標準の王道なエンジニアとは、あらためてどういう存在なのでしょうか、またどのような存在であればよいのでしょうか。
エンジニアとは何か、エンジニアが生み出す価値とは、これから必要とされるエンジニアとは、ということについて、考えてみたいと思います。なお、ここでいうエンジニアはITエンジニアを想定して書いています。
エンジニアとは何か
技術者(エンジニア)とは、工学に関する専門的な才能や技術を持った実践者のことである
工学は、数学と自然科学を基礎とし、ときには人文社会科学の知見を用いて。豊かな経済基盤に立脚した安心・安全な社会を実現するために有用な事物や快適な環境を構築する学術分野である。そのため、数学、物理学、生物などの学術基礎と密接な関連のもとで、ITから環境・社会基盤や医学応用展開に至るまで多岐に渡る学術領域を擁するとともに、常に新しい研究領域を取り込んできている。また、工学は社会と純粋(または、基礎)科学をつなぐ重要な学術分野であるのみならず、産業、特に製造業の国際的競争力の強化に向けて中心的役割を果たしており、今後もその発展に向けて一層の支援が必要な学術分野である。
エンジニアについて調べる中でこの定義に出会い、腹落ちしたことを覚えています。まとめると次のようになるのでしょうか。
"エンジニア (技術者) とは、自然科学や人文社会科学の知見を用いて安心安全な社会を実現する、という学術領域において、専門性を持った実践者である。"
皆さんがイメージするエンジニア像と比較していかがでしょうか。この説明ずばりといえるようなひとも、なかなか少ないのではないでしょうか。また、そもそもこのようなエンジニア像を仕事をする中で求められている、と感じているひとも少ないのはないでしょうか。
エンジニアの価値
今は違うのかもしれませんが、自分がSIerにいた頃は、コードを書くのではなく、そのコードを書くひとを管理し、顧客ないしは社会に対して提案できるコンサルタントを目指すことが、理想のキャリアプランであるとよく言われました。
当時、インターネット関連テクノロジーが大きく進化した時期で、その可能性を強く感じていただけに、ひとりモヤモヤしていたことを覚えています。
その中で未踏※1に採択され、テクノロジーを活用して社会にインパクトを与えることを追求することは間違っていないのだと学び、その後、ベンチャーを数社経験する中で、実際の開発の現場でそれを強く実感することができました。
一方で業界が 成熟する中で、テクノロジーという言葉が多用され、その結果、表層的なテクノロジー論が増えたり、社会への課題解決に対する視点が弱くなっているのでは、と感じることが最近増えてきました。
CTOやVPoE、技術顧問などのキーワードをよく目にするようになり、CTOになりたいのですがどうすればよいのですか、といったような相談をうけることも増えてきました。そのような話を聞くたびに、コードを書く人よりそれを管理する人が偉い、と言われたSIerにいた頃のモヤモヤに近いものを感じています。
工学は社会と純粋(または、基礎)科学をつなぐ重要な学術分野である
技術をおろそかにして表面的な課題解決にとどまる、表面的な技術にとらわれ社会課題が解決できない。そうではなく、技術を磨き進化させそれを社会に還元するということがエンジニアの本質的価値であり、あらためて原点に立ち返ることが必要であるように思います。
※1: 未踏ソフトウェア創造事業
これからのエンジニア
IT関連技術は日々進化し、トレンドの移り変わりも早いものです。IoT、ブロックチェーン、AIなど、将来への不安もある中で、よりキャリアアップが目指せるだろうキャッチなものに目がいきがちです。しかし、モノ・コトが飽和してきた時代のなかで、新しくわかりやすいテクノロジーへの消費欲が過去と 比較して過度に増えることはないのではと自分は考えています。
その中で、まだ見ぬ未来に向けてテクノロジーを進化させることよりも、過去から進化がとまっている領域に対してテクノロジーを注入するということが、今後の日本にとって良いインパクトを与えるのではないかと思っています。
実際、2018年に経済産業省からDX(デジタルトランスフォーメーション)レポートが公開され、いわゆるレガシーなシステムに対し適切にテクノロジーを注入し、持続可能性の高いシステムへ移行させることが急務であるということも提言されています。
社会の課題を的確にとらえ、適切にテクノロジーを注入し解決していく。エンジニアの本質を追求することがより強く求められる時代になってきているのではと思います。
THE エンジニア
メドレーには経験を積んだ30代後半から40代前半のエンジニアが集まっています。多くのひとと働いてきましたが、客観的にみて優秀なメンバーが集まっているように思います。
以前、メドレーの採用ページを制作する際に、メンバー紹介のコンテンツに、シニアテクニカルリードのような、それっぽい肩書きをつけたほうが良いのではないか、と議論をしたことがありました。しかし、シンプルにエンジニアとしたいという声が多く、結果、採用ページにのっている全員「エンジニア」としています。
当時、その発言の意図を言語化できなかったのですが、「社会の課題を解決するために、日々自身の腕を磨き、純粋に取り組む、ただそれだけ」、そういうことを言いたかったのだなと今は理解しています。そして、そのような存在を自分の中で勝手に「THE エンジニア」と呼んでいます。
“エンジニア (技術者) とは、自然科学や人文社会科学の知見を用いて安心安全な社会を実現する、という学術領域において、専門性を持った実践者である。そして、これを突き詰めていこうとするエンジニアは「THE エンジニア」である。"
単にエンジニアを増やそうという議論ではなく、エンジニアの本質をあらためて見つめ直し、本質的に強いエンジニアが増えていってほしいと思いますし、そのような流れを作れるように取り組んでいきたいと思います。
さいごに
ということで、メドレーではエンジニアの本質的な価値を突き詰めていきたい「THE エンジニア」を絶賛募集しています。興味あるかたはぜひご連絡ください。
参考
- MEDLEY DESIGN&ENGINEERING
- 医療ITの未来に向けて取り組むこと - Speaker Deck
- DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)
本コンテンツは、筆者が株式会社メドレー在籍時に執筆したものです。知的財産権は平山宗介個人に帰属します。